ヴォイニッチ手稿雑感本編

 すうがくし ここまで。(「しけんはんい ここまで」風に)
 さてさて,わけわかんねー文書であるヴォイニッチ手稿ですが暗号解読とかの見地とは異なる方面から眺めてみたいのです。
 ヴォイニッチ手稿の来歴を見ているとジョン・ディーは出てくるはアタナシウス・キルヒャーは出てくるはルドルフ二世は出てくるわと,こりゃあコリン・ウィルソンが『賢者の石』の中で「ヴォイニッチ写本」としてネタとしただけのことはあるがいくらなんでもクトゥルフの魔道書扱いはねえだろよウィルソンと思うことしきり。
 前出のラグ氏の論文での「ジョン・ディーとその悪友・エドワード・ケリーによるデッチ上げ文書」という主張は当時の状況の中での「本」というモノの位置から考えるとけっこう妥当性ありまくりんぐって希ガス(つまらない話をなんとか楽しんでもらおうと必死に書いてみるテスト)。
 グーテンベルグによる活版印刷の発明以前は本なんて肉筆によるものしかなくえらく高価なものだったわけで(本一冊=家一軒の価値とかクオリティ高すぎwギガワロスwww),必然的に本というメディアになるべき情報というのは貴重で重要なものだったわけです。
 ルドルフ二世がヴォイニッチ手稿を購入したのは活版印刷の発明後のことなんですが,歴史的な文脈として「肉筆本はクオリティ高い」という認識は形成されていたわけです。
 ヴォイニッチ手稿はそういった「レアアイテム」としての肉筆本-しかも文は読めないものの挿画の天文図や植物などから判断するに秘教・錬金術方面のテキストらしい-としてルドルフ二世の前に提示された,と考えれば「デッチ上げだとしてわざわざこんなヘンな本書いてどうするの?」という突っ込みに対応できると思う。
 答えは「うはwww金儲けwwwwオカルトスキーの皇帝様ならきっと高く買ってくれるwww」。
 実際,ルドルフ二世は他にももっとクズっぽい偽物の(本物なんかありゃしませんが)錬金術関係の書物をバンバン買い漁ってたというのだからネギしょったカモですよカモ。
 結局,前出の論文によるとルドルフ二世はこの手稿を現在の貨幣価値にして500万円くらい出して購入したとのこと。 
 きっとジョン・ディーはケリーに「おまえ まじで あたまいいな」って言ったと思うね。
 読めない文章というのも逆に妄想を駆り立てるレア度アップ効果を狙ったものなんだろうなぁ。
 「わかんねーがなんとんなくゴイスーな内容がッ 錬金術かはたまた不老不死か」とか思い出すともう止まらない。
 実際,ヴォイニッチ手稿の内容についてはみんな好き勝手予想していて特にフィクションでとりあげられるとトビっぷりが激しく,ウィルソンの「クトゥルフ関係の魔道書」説やこのフラッシュアニメでの「人類の宝のありかを示す地図」説なんてのもあったりしておまえら夢がひろがりんぐ杉って感じです。
 散漫な雑感を書き綴ってきたとりあえずのまとめは,ヴォイニッチ手稿にしても三次方程式の一般解にしても,「やっぱり,人間って面白っ!」(デスノリューク面で)ってことです。
 ヴォイニッチ手稿そのものの謎よりも,その周りに見えてくる「人間ドラマ」のほうが個人的には面白い。
 手稿の名前の由来である古書収集家ウィルフリード・ヴォイニッチ氏にしたって,手稿を発見して「こいつは高く売れる!」と思って購入して研究者に紹介して,でも売れずに死後他の古書商の手に渡った手稿はやはり売れず結局イェール大学の図書館に寄贈されたという事情を知ると失礼ですが「この人おもすれー(^ω^) 」とか思ってしまいます。
 私としては,暗号文書でもデッチ上げでもどっちでもいい,ということなのですね。ハハハ。
 ちなみに実物のスキャンものはここで見れます。興味のある方はレッツ解読。 SAN値が下がっても当方は関知しませんのであしからず。