こんな本を読んでる

機動旅団八福神 (1巻) (Beam comix)

機動旅団八福神 (1巻) (Beam comix)

機動旅団八福神 (2巻) (Beam comix)

機動旅団八福神 (2巻) (Beam comix)

 私は漫画はジャケ買いよりも作家買いが基本の人なのですが、福島聡というと『少年少女』*1で俺様的高得点を獲得しているので買ってみました。
 お話としては、架空の近未来戦時下の日本を舞台にして八人の少年少女が「福神」という強化装甲服を装備して戦争する…とこまではまだいってないんだな。
 「福神」の装着者の選抜がとりあえず終わったところで敵の襲撃があって、演習中だった六人が「福神」で敵と対峙するところまでか。
 「考える軍人」と自称するメガネ君・名取をとりあえずの主人公にしてさまざまな個性を持った少年少女が登場していく1巻〜2巻中盤までの流れは1人1エピソードの構成とあいまって『少年少女』を思い出させますね。
 一読すると「福島聡による『エヴァ』っぽいぜ」という感想を抱いたわけですが何度か読み直すうちに「わざとそういうわかりやすいフックをつけてるが本音は別のところにあるのかな」と邪推してみたくなる。
 その本音がどの辺にあるのかはまだよくわからないので、とりあえず三巻目以降にも期待しておきます。
 名取君のいかにもなナイーヴさとかが今後「実戦」を経る事でどのように変わるのか見ものです。
 …待てよ、するとこの作品は実は『フルメタル・ジャケット』なのか?(ハートマン軍曹は出てこないけど)


ケプラー予想

ケプラー予想

 
 「球の充填問題」の成立とその後の400年間におよぶ「ケプラー予想」証明のドキュメントを描く数学史もの。
 数学史というのは一次直線みたいに着実にコツコツ進歩するんじゃなくて時折「天才」が出現してドカーンと進歩するタイプ*2なので、必然的にこういう難問解決のドラマは超人列伝になります。
 トマス・ハリオットに始まり、ケプラーニュートン、ラグランジェ、ガウス、ケルヴィン、ポアンカレフォン・ノイマンなどいった数学史のスーパースター(一部マイナーも含む)たちが「球による最も効率のよい空間充填方は八百屋の店先のスイカやミカンの積み方に違いないんだけどどうやって証明したもんじゃろかねー」というどうでもよさげな難問に挑むバカスペクタクル。
 同じ数学の未解決問題ドラマだと「フェルマーの最終予想」証明が有名ですがケプラー予想も負けず劣らずの人間ドラマと天才のひらめきに満ち満ちた物語です。
 そういえば二年前に、クレイ数学研究所が1問につき100万ドルの懸賞金をかけている「7つの未解決問題」のひとつ「ポアンカレ予想」への有力な証明が発表されたというニュースがありましたね。
 今ちっょと気になって調べたらまだ検証が終わってないが多くの研究者がこの証明が正しいと考えているとのこと。
 ポアンカレ予想も証明が正しかったらきっとノンフィクションの本が出るんだろうなと思いつつ今日はここまで。

*1:

少年少女 (1巻) (Beam comix)

少年少女 (1巻) (Beam comix)

*2:科学哲学者トマス・クーンの提唱した有名な「パラダイム」モデルでは数学に限らず科学一般はそういう進歩をすることになっているわけですが。