The Eternal Nemesis (0) プロローグ
彼は彗星を父に、宇宙風を母に持ち、
惑星をまるで羽毛のようにもてあそび、
欲望を駆りたてるためだけのためにブラックホールと格闘するという。
彼は決して眠らず、両目は新星よりも明るく輝き、叫び声は山をも鳴らすという。
その名はネメシス。
はるかFounder's Fallの奥深く、EdenのはずれにThe Cascadesという地域がある。
水の豊富な世界で、美しくも雄大な滝を見ることができる。
日中にそのエリアに行き、滝を背にして立つと、草に覆われた塚が目に入る。
塚のてっぺんには17本の白い十字架があり、それぞれにこの静かな世界を開拓しようとした善良な男女の名前が刻んである。
それぞれの名前の下には同じ銘が、17回繰り返して刻まれている。
"ネメシスにより殺害"
Rikti Crash Siteには、猿と呼ばれるRiktiの怪生物たちがいる。
ここにはもう市民はいない、全員が引き上げてしまった。
Rikti Crash Siteの中央近く、かつての銀行のすぐそばに、長さがほぼ10マイルで幅が半マイルの黒い刈り跡があり、そこにはもう二度となにも生えることはない。
このことを報告したヒーローはなく、仮にいたとしても、その報告はParagon Cityの官僚たちのだれかが置き場所を間違えたのだろう−だが実際にRikti Crash Siteに行って地面にある黒い跡がどうしてできたのかとRiktiたちにたずねたら、彼らは十字を切って(彼らは地球人の慣習に強い関心を持っているようだ)語るだろう。
それは<ネメシスの印>だと。
犯罪どころか、mobの一匹にも縁のないAtlas Park中央部ですら、彼の名前は知られている。
身の丈11フィート3インチ、オレンジ色の髪はぼさぼさで、黒い巨大な牙が唇にくいこみ、すっかり突き抜けているという。
子供たちが悪さをしたとき、親たちはネメシスの朝ごはんになってしまったわんぱく少年のことをほのめかすだけで、すぐにいうことをきかせることができる。
Paragon CityとRogue Isleに通じるPocket Dというクラブで、さすらいの女DJたちは彼の歌を歌う。
そこでいつも描かれる男の姿は、年齢がかっきり217歳、鐘楼よりも背が高く、納屋よりも横幅があり、酒に強く、とんでもない女道楽で、LORD RECLUSE(こちらも彼女たちのお気に入り)と根本的に違うのは、彼が富める者からも貧しき者からも等しく奪って自分だけに与えるというところだ。
彼の冒険談は数知れず、その範囲もゲロを吐き出すVarzhiloksとの格闘から地獄へ降りてEnvoy of Shadowの燃える眼につばをはきかけた物語にまでおよび、常に厚みを増し続ける"ネメシスのテクノ・リミックス"に幾つかのアレンジが新しく加わらない日はめったにない。
Eden、Rikti Crash Site、Atlas Park、Pocket D、どれも興味深いエリアだ。
だがネメシスの奇妙に入り組んだ人生においてもっとずっと興味深い世界はSteel Canyonというビジネス街だ。
というのもSteel Canyonは、とにかく現在のところ、Grasshopper-1の本拠となっているからだ。
彼は自分の本名を嫌い、自分の職業を嫌い、自分の人生を嫌っている−必ずしもこの順番とは限らないが。
彼は自分ではたいしたものだったと信じている幾多の戦いをこなし、一度として勝ったことがない。
もうログインすることもほとんどなく、StoryArcを攻略することはさらにすくない。
友人はなく仲間も数人しかいないが、ソロでクリアできないMish以外では不便とも思っていない。
Grasshopper-1は、およそどんな規格からいっても特徴のない平凡なMA/Regen Scrだが、それでもこの物語は彼からはじめなければならない。
彼はネメシスとだけ知られている男の伝説において重大な役割を果たすよう定められているのだから……