ボンクラ読書録

 アイスキャンディ、いけない坊や、回転ドリル、きのこ肉、巨大な侵略者、キングコブラ、獣の器官、毛の生えた拳銃、生命の根、怒り棒、若鮎、魔性の凶器……
 これらはすべて、同じ「モノ」を指している呼称なのですが、なんのことかおわかりでしょうか。


 ・・・そう、アレです。
 『官能小説用語表現辞典』(永田守弘・編 ちくま文庫)は、こういう表現を集めたステキな本です。
 2000〜2005年前後に刊行された官能小説663冊から、官能小説特有と思われる用語や表現を約2300語収録。
 用例として出典元からの引用もあり、いろんな意味で「使える」辞典に仕上がっています。
 日本語の表現力の限界に挑戦するかのごときめくるめくおバカ世界、まさに「声に出して読みたくない日本語」ってやつですか。
 みさくら語やクリムゾンもいいですが、官能小説もわりとバーリ・トゥードみたいで感動しました。

官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)

官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)



・『キングとジョーカー』(ピーター・ディキンスン 扶桑社)
 架空の英国王室を舞台にしているとはいえ、内容はミステリなんですが、なぜかサンリオ文庫(SF系)に収録されていた作品。
 SFマニア(というか篤実なサンリオ文庫コレクター)とミステリファンの両方が欲しがるため、サンリオ文庫の中でもレア物の一つとして知られていました。
 サンリオ文庫版は密林の古書ブローカー価格で1万円くらいします。
 二年半、神保町を訪れるたびに密かに探し続けていましたがもちろん実物に遭遇したことすらなかった。
 高値なんで怖いから「買いたい本リスト」からは外していたのですが、復刊されたことを知り購入(復刊ドットコムがらみらしい)。
 山口雅也氏による懇切丁寧な解説もついていてありがたい。
 主人公は架空の英国王室の王女ルイーズ(13歳)、宮殿内に起こる怪事件とその犯人「ジョーカー」の謎を解き明かすべく彼女が奮闘します。
キングとジョーカー (扶桑社ミステリー)

キングとジョーカー (扶桑社ミステリー)