「Wonders in the Sky」読書メモ1


 「また、わたしは、上は天に不思議な業を示し、下は地にしるしを示す。それは、血と火と立ち上る煙である」

   ―『使徒行伝』 2:19



 「また、日と月と星とに、しるしが現れるであろう」

   ―『ルカによる福音書』 21:25



 「我々が経験できる最も素晴らしいことは、神秘的な事柄である。それはすべての真の芸術と科学の源泉である」

   ―アルバート・アインシュタイン、1930年10月の講演「私が信じるもの」より



 イントロダクション


 歴史家Simon Goulartの著作『Trésor admirables et mémorables de notre temps』(1600)には以下のような話が記録されている。


 1547年の12月15日、ドイツのハンブルグで、アルスター川に出航した船の乗組員たちは、深夜にもかかわらず、空に太陽のごとく輝き燃え盛る球体を目撃した。物体は北方向を旋回し、また熱を放射しており、その熱さに今やまさに船が炎上するのではないかと心配した船員たちは、船を見捨てて逃げ出さざるを得なかったという。
 これは隕石だったのだろうか?この空中現象のような動きは、通常の隕石には有り得ないし、高度的に隕石の熱を地上の観測者が感じることも無い。隕石は通常、観測者の頭上を数秒間ほどで通過してしまうから、熱による炎上を恐れて船員が脱出するような長い時間、上空にとどまることも無い。
 「球電(Globular Lightning)」だろうか?記録によると、目撃時の天候状態は嵐や雷雲ではなかった。
 情報不足のため、我々はこの事件を未確認飛行物体の目撃事例と分類するほか無い。


 ここ60年間ほど、何千件ものこのような目撃事例が記録され、空飛ぶ円盤や他の惑星からの来訪者や、エイリアンによるアブダクションについての考察を積み重ねさせてきた。
 人々は書物や映画の影響により、以下のような結論に早急にたどり着いてしまう―
 「未確認の飛行物体は、他の惑星文明の宇宙船であり、我々が第二次世界大戦の終わりに初めて核爆弾を使用したことを契機にその存在に気づいた。」
 宇宙人は我々に興味を持ち、観察しようとしている、というわけだ。
 この説明によると、宇宙船の幾つかは地上に墜落しているのだが、政府はこの事実を隠蔽し、秘密裏に彼らのテクノロジーを研究しているのだという。


 しかし、上記のハンブルグの事件は、地球外生命体仮説が完璧なものではないことを示している。
 この「未確認飛行物体」という現象は、1940年代(それどころか、19世紀ですらない)に始まったのではない。
 それよりも遥か以前から、未確認の飛行物体は目撃されており、目撃者たちから、(船を炎上させかねない熱のような)明確な物理的特徴を伴っていることが報告されている。何世紀もの間、報告は続いているのだ。


 1965年の9月3日の晩、二人の警察官(マッコイ保安官とロバート・グード)が、テキサス州のAngletonのハイウェイをパトロール中に、約70m×約15mほどの巨大な物体を目撃した。物体は一方がまぶしい紫色の光に輝き、もう一方が青白く発光していた。彼らの上空30mほどに浮かぶ「それ」は月光をさえぎり、巨大な影を作っていた。
 二人は物体から熱波が放射されるのを感じ、恐怖を感じるとその場から即座に走り去った。あたかも1547年のハンブルグの水夫たちのように…


Wonders in the Sky: Unexplained Aerial Objects from Antiquity to Modern Times

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