ベストヒットUFO ラクソン事件(1)

 1966年3月23日、アメリカ・オクラホマ州テンプル。州内のシェパード空軍基地で航空電子工学の教官をしているウィリアム・ラクソン(56歳)は、基地へと向かい車を走らせていた。


 午前5時、ルート65からルート70へ間もなく入ろうというあたりで、ラクソンは前方の路上に奇妙な物体が存在しているのを目撃した。
 その物体の大きさは彼に言わせれば「C-124グローブマスター?(ダグラス社の軍用輸送機)から翼とエンジンを取り外したくらい」であったという。ちなみにC-124の全長は40メートルだが、ラクソンはこの後により近くで目撃した物体の大きさは22メートルほどとも証言している。


 はじめはハイウェイの1マイルほど前方に明るい光が見え、近づくにつれラクソンはそれを「ハイウェイのど真ん中に、こんな朝早くになぜか現れた『家』」だと思うようになった。やがて彼は100ヤードほどまで近づいたところで車を停め、物体の方へと歩いて接近していった。車のライトとエンジンはつけたままにしておいた(未確認飛行物体が自動車のエンジンを停止させたりする『EM効果(電磁効果)』は発動していなかったようだ)。


 50メートルまで近付くと、その物体の詳細がよく見えた。物体はラクソンの車を遮るように、ハイウェイに対して45度ほどの角度で斜めに停止していた。アルミニウム製のように見え、頭部から後部へと小さくなっている長さ約22メートル、高さ約2.5メートル、幅3.5メートルの棒状の機械で、前方と後方に2脚ずつの着陸パッドのようなものが設置されていた。光は前方と後方にそれぞれ4つある照明装置から発せられており、その明るさは「1マイルほど先からでも、(午前5時でも)新聞が読めるほど」であったという。前方の先端には直径1メートルほどのプラスチックのドームがあり、爆撃機B-26のコクピットにどことなく似ていると彼は思った。機体の側面にはいくつかの数字や文字が縦書きされており、また、真っ黒で円い窓が付いていた。書かれていた文字や数字は「TL」「47(または41、A1)」などと読めた(ラクソンの証言をまとめると、縦書きで「TL4768/TL4168/TL4A68」のいずれかであったようだ)。


 ここでラクソンは車のフロントシートにカメラを置いてあるのを思い出した。謎の物体の写真を撮ったものかどうか、と彼が躊躇していると、物体の中から男が一人現れた。


 男の外見はラクソンによれば「軍服かツナギのような緑色のツーピースの服に、野球帽のようなひさしが上に折り曲げられた帽子をかぶっていた」。服の右肩には軍の階級章のようなものがついており、それは上向きの三本の山形線(^)と下向きの三本のかっこ線のような図案だった。ラクソンによれば男は身長175センチ体重80キロほどで、「普通の年配の軍のメカニック」のように見えた。男は懐中電灯を手にしており、右ひざをハイウェイの路面に付けてかがみこみ、物体の胴体の下の部分に触って何か修理のようなことを始めた。


 やがて男はラクソンに気付くと、機体から出ていた短い梯子を上り、大急ぎで中に戻った。その後金属同士がぶつかるような音がし、やがてドリルが高速で回転するような音とともに機体が45メートルほど急上昇し、時速約700マイルはあろうかという速度で南へと飛び去って行った。
ラクソンは物体を追いかけて車を走らせたが、1マイルほど行ったところでハイウェイの脇にトラックを停めていた運転手アンダーソン・シュナイダーに出会った。シュナイダーは車のミラーに映った、南へと飛んで行く光を見たと語った。
(次回へ続く)