中学生にタイムトリップ
先日、神田にて大量の本を購入してきたわけですが、古書ばかりでなく新刊書も買ってきました。
メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: マイクルムアコック,Michael Moorcock,井辻朱美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (106件) を見る
私が今こんなボンクラになってしまっている遠因のひとつは、中学生時代に『エルリック・サーガ』などのムアコック作品、いわゆる「エターナル・チャンピオン」シリーズにハマってしまったせいなのかもしれません。
中学生だった私はムアコック作品にかぶれて道を誤ってしまい、どうも王道のファンタジーよりはちょっとダークというかヒネたものが好きな傾向になってしまった。
しかしアリオッホって新訳はネット上でも色々と話題になってるみたいですね。
中村融氏は『不死鳥と剣』*3収録の新訳「翡翠男の眼」で「ムアコック御大の発音により近い」表記として「アリオック」を採用してて、それはそれでよかったんですがアリオッホはどうなのよ正直?
まぁ井辻女史のイメージは私の中では『0083』初期のニナ・パープルトンみたいなもんでしてね。
そうそう、「私のエルリックがぁ!」って絶叫するような、そんな感じ。
きっと安田訳の『皇子』も自分で訳したいってずっと思ってたんだろうなぁ、とか予想してみる。
「こんなの私のエルリック様じゃないわ、待っててエルリック様、今私の訳で新たな命を吹き込んで差し上げますから!」
…
いや、そんなわけないじゃないか、ハハハ(いやな汗をかきつつ)。
近頃はエルリックというと錬金術師のほうだと思う若衆も多かろうが、オデあっちはよく知らんのですがあれはムアコックレスペクトなんですよね?(愚鈍な顔で)
そんな若衆のみなさんも試しに読んでみるといいと思うわけですよ。
昔は「魔剣」の代名詞といえばストームブリンガーだったんだぜ?(老害病発動中)
その辺のラノベなぞ足元にも及ばない厨房設定のオンパレードですぜ。
しかし同時にかっこいい。
ゼラズニイとかもそうなんだけど*4、超厨房設定なんだけどスタイリッシュ。
オデも中学生に戻って少年の瞳で読み直すつもりです。
アリオッホ!(虚空に響く絶叫)
さて、もちろん古書も買ってきたわけですが同じく中学生時代に読んでたものを再購入。
探せば部屋の中にあるはずの本をもう一度買ってしまう。
未読の本がたくさん積んであるのに昔読んだことのある本をもう一度読もうとしてしまう。
本当に病気なのかもしれないですね(さらにいやな汗をかきつつ)。
復讐の序章 (ハヤカワ文庫 SF―魔王子シリーズ (631))
- 作者: ジャック・ヴァンス,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/10
- メディア: 文庫
- クリック: 18回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
こちらはSFでございますよ。
萩尾望都のカヴァーアートが実にステキな作品(イメージ検索すると見つかるはず)。
広大な宇宙が文明社会「オイクメーニ」と、法の及ばぬ世界<圏外>に分かれている未来を舞台に繰り広げられる復讐劇。
<圏外>を根城にする超人犯罪者5人を人々はいつしか「魔王子(Demon Princes)」と呼び恐れた。
その5人の魔王子たちがただ一度だけ協力して行った「マウント・プレザントの大虐殺」の数少ない生き残り、カース・ガーセンは生涯を賭しての彼らへの復讐を誓う。
広大な銀河を巡り、正体不明の魔王子たちを捜し求めるガーセンの復讐行が今、華麗に幕を開ける!
全5巻、一人一冊一殺(でも途中で作者がやる気をなくしたために完結まで17年もかかった)。
今読んでも面白いなぁ。
SF的なアイデアそのものよりも「復讐譚」とか「正体探し」というお話の面白さに負っているからなんだろうけど。
その意味では『サンティアゴ』に似ていると言えるかも。
各章の冒頭に引用される架空の文献とか、異世界情緒に満ち溢れた名作ですぜ。
魔王子たちも超人犯罪者のはずがけっこうささやかな欲望のために悪事している人たちでむしろそっちに感情移入してしまう。
「未開の中世ヨーロッパ文化惑星でファンタジー風にお姫様を救う勇者をロールプレイしたい魔王子」とか「かなわなかった初恋を成就させるために初恋相手のクローンを何人もいろんな環境で育てるリアル・プリンセスメイカーな魔王子」とか、小悪党にもほどがありますよ!
最終巻の敵は一応「表と裏両方の権力を手にして銀河支配をもくろむ魔王子」なんですがこの人も実は…
『復讐の序章』に登場するのは『災厄』のアトル・マラゲート、リアル・シムシティマニアな魔王子です。
他の魔王子も「禿鷹」とか「殺戮機械」とかかっちょいい二つ名がついててグッド。
こういう作品を中学生時代に読んだのでオデはサイバーパンクとかにはあんまり興味ないマンになっちゃったんだよなぁ。
そんな感じでなんか中学時代にタイムトリップした気分になってしまいました。
今、汚れてしまったボンクラの視線で読むと別の味わいがあるとこもあり、昔のまま面白い部分もあり、かつてほど楽しめなくなった部分もあり。
これだから本読みは止められないのだぜ(買ってきた本をまたしても積み上げつつ去っていく)。
*1: メルニボネの皇子 (ハヤカワ文庫 SF―エルリック・サーガ (587))
*2:
*3: