エンジェル・パス氏、介良事件について語る



 今日は、密林から『日本"怪奇"事件』(ミリオン出版、2009)が届いた。
 いわゆるコンビニ本で、ミリオン出版社のナックルズ系列の雑誌記事の中から都市伝説・怖い噂系をピックアップしてまとめ、『「怖い話」リアル・ホラー・コレクション』と銘打ったもの。
 以前、コンビニの店頭で見つけて購入済だったが、部屋のどこかに行方不明となってしまったので再度購入した(愚者のツラ)。
 皆神龍太郎さんのフリーメーソン記事のためでもなく、小池壮彦さんの宮崎勤ネタのためでもなく、『高知県介良町「UFO捕獲事件」の衝撃』という、介良事件を取材した記事を読み直したかったのだ。
 介良事件については、たとえば「介良事件(UFO事件簿)」や、「介良事件(Wikipedia)」を参照のこと。
 この記事の中で書かれている介良とかなり似た内容の発言を、前回から紹介している「エンジェル・パス」さんが、かつて2ちゃんねるオカルト板の「ハードなUFO議論モトム」スレの中でしているのが、興味深い。
 今回はエンジェル・パスさんの介良事件についての発言を「「★ ハードなUFO議論モトム 2 ★」から引用してみます。
 一部、前回のまとめとカブりますが、ご容赦を。




18 名前:赤覆面 投稿日:02/05/10(金) 10:38
で、少し目を通してみましたが、
正直、このスレの主張がよくわからないです。
もう少し、身近なわかりやすい話しをしませんか?
日本に近年、起きたUFO・宇宙人事件の話しとか?
具体的に言いますと、
高知のUFO捕獲事件とか
山梨・甲府の少年たちによるキバの生えた宇宙人交流事件とか
東京・三鷹の老人ホーム大型宇宙人(2mはあったという)襲撃事件とか・・・
特に山梨の宇宙人事件は世界にも誇れる宇宙人遭遇事件だと思いますよ。


19 名前:あああ試験だってのに[sage] 投稿日:02/05/10(金) 11:48
>>18
身近ってのがどんなのかわかりませんが(^^;
何せ、甲府の事件も高知の事件も、はるか昔っす。
近年とはとても言えないかと。


とは申しつつも、甲府の事件も高知の事件も質の高いのは事実っすね。
甲府の事件については、「何かがあった」んじゃないかと思うっす。
複数の大人たちも何かの物体を見ていること、ガイガーカウンターの使い方を知り、またバックグラウンド放射能の知識を持ってる教師が放射能測定をきちんとやって結果を出したこと。
それに、近年でも肩たたきされた少年たちの目撃証言があまり変遷していないこととからっす。
けど、三本キバの宇宙人という表現は少し疑問があるっす。
少し前に検証されてたんすけど、実は当時事件前、発売されたソフトビニールの怪人人形にそっくりのものがあるんす。
だから、ひょっとしてその宇宙人の部分は、何か記憶が混濁してるのではないかと言われてますっすね。
ただ、「何か」があったんじゃないか、とは思ってるっす。


高知の円盤捕獲事件については、まあいろいろいろいろあるっすよ。
私は真偽は半々だと思うっす。
調べれば調べるほど「何か」があった感じはするんす。
ただっすね、この騒動の中心人物が、手品が得意な人気者少年だったんすよ。
そんでもって、この人物は今、介良町の隣町で焼き鳥屋やってるんすけど、事件のことは「昔のことはどうでもいい」って話してくんないすよ。
そうすっと、何か胡散臭いものも感じられるんす。
けど、目撃者は、大人も含め結構な数に上ってるんす(報道された目撃者は、実は全部じゃないんす)。
また、ほんとに取材に嫌気が差してるだけかもしれないすし。
あとですね、実は高知事件の20年近く前に、テキサス州で同じような事件が起こってるんす。
これが日本に紹介されたのは、高知事件のはるか後なんで、少年たちが参考にできるわけがない。
とか、もろもろ考えると、これも「何か」があったのかなあと思えるっすね。


私的には、あと日航機長の目撃事件を合わせて、日本の3大事件かな、と思ってるっす。


あああ、全然準備してないのに、試験...




867 名前:エンジェル・パス[sage] 投稿日:02/06/03(月) 10:27
今日・明日とW杯関係ない通常取材なので、暇があるんでちょこっと書き込みますね。
特に、介良事件は私が直接取材したところなので、すこうし愛着があったりする(^^;

介良事件の概要は、809さん紹介のページがとてもよくまとまってますので、そちらをご参考に。
ただ、ご紹介されているページは、初見参が16歳のときということで、ちょこちょこ間違いがありますので、訂正も兼ねてネタ話を。

当時の介良町は、ちょうど開発の波がやっと来たところで、旧農村部に新興住宅街が出来始めた端緒のころでした。
ところが、円盤を捕獲したという少年たちで、新興住宅街に住んでいた少年は一人もいません。
(809さんのページにある新興住宅街の少年たちとの表現は、この限りで間違いです)
これはちょっと面白いので覚えておいてください。
さて、円盤を捕獲したとされる少年たちは、実験と平行してなんとか大人たちに見てもらおうとしました。
学校の理科と数学の先生に話をして、家に来て見てくれるように頼んだり。
また、新聞社に電話したりもして、何とかして見てくれるように頼んだり。
ところが、悪戯と思われ、どちらにも「全く」相手にしてもらえなかったのです。
(この当時、高知地方では光る飛行物体の目撃が相次ぎ、それにつれ悪戯電話も増えていたとの背景事情がありました)
メンバーの一人の父親(高校教師)が、ようやくきちんとみてくれたんですが、それだけ。
その父親も、後に「鋳物のような感じがした」と述べただけで、特別なアクションを起こしてくれたわけではありません。
(悪戯だと思っていたそうです。ちょっと考えればわかりますが、光もしない飛びもしない円盤は、見たことのない置物と同じですし)


868 名前:エンジェル・パス[sage] 投稿日:02/06/03(月) 10:27
さて、誰にも信じてもらえず、思い余った少年の一人が、あるラジオ番組に電話をかけました。
「イケヤセキ彗星」といえばご存知の方もいると思いますが、この発見者で世界的なアマチュア天文学者の関勉氏が当時ラジオ番組を持っていたのです。
興味をそそられた関氏は、介良町を訪れ調査をしました。
(当時の事件としては、異例に信憑度が高いといわれるのは、この関氏の初期調査が非常に科学的なものだったからと言えます)
そして、何かがあったに違いないという調査結果を、ある小さな天文雑誌に発表しました。
そうなると、円盤ブームの頃ですし、関氏という名の通ったアマチュア天文学者の発表ですので、目をつける人が出てきます。
そう、当時人気絶頂の「11PM」のプロデューサーでした。
「11PM」で取り上げられたこの事件は、ついで「矢追純一のUFO特番」にも取り上げられ、いちやく有名になります。
その後は、遠藤周作が現地を訪れ調査を行ったり(「ぼくは好奇心のかたまり」他1冊に収録されています)するなど、全国的に注目の的になったのでした。


869 名前:エンジェル・パス[sage] 投稿日:02/06/03(月) 10:29
とまあ、これがことが広がった次第だと私は理解しています。
少年たちは、今では皆、就職してばらばらになっています。
中心人物で手品が得意だった少年は、弟(同じく捕獲した少年たちの一人です)と一緒に、隣町で焼き鳥屋をやっています。
809さんのページで書かれている中心人物の3人のうち2人は、この兄弟を指すのでしょう。
今では、事件についてはなかなか話してはくれません。
それが、事件の信憑性に触れたくないのか、それとも大人たちに「もう話すな」と言われた経緯で色々嫌な目にあったせいか、どちらなのかは私には判断がつきませんでした。

もう一人、3人の中心人物の残り一人とされる人物についても触れておかねば不公平かもしれません。
この少年は、現在県下第2の市で、高校の教諭をやっています。
別の市ということも関係あるのかもしれませんが、氏の証言は、捕獲当時の証言と現在でも何の変遷もありません。
信頼できる証言だと思いますが、何分にも数十年も昔のことです。
今となっては、一体何があったのか、私には判断がつきかねるというのが正直なところです。
しかし、1950年代のアメリカ・テキサス州で、少年たちが畑に浮いている小さな円盤を捕獲しようとして、一人が火傷を負ったという事件がおきています。
この事件は、介良事件のときには報道されていませんでした。
こんなことを考えていると、何かがあったのかなあ、とついつい思ってしまうのです。


870 名前:エンジェル・パス[sage] 投稿日:02/06/03(月) 10:33
さて、ここから先の余り明かされていない事情が、地区に中学生の嘘言だという噂を生んでいます。
UFO研究家は、専ら円盤関係の少年たちの実験などに目が向き、地域の事情をあまり捕らえない傾向にあるので、いわば当然とも言えるのですが...
ちょっと参考にまでに以下の事実を頭に止めておいてください。

まず、最初に少年たちが新興住宅街ではない農村部の少年たちだと言ったことを想起してください。
当然、農地を売って住宅地にし、開発しようという大人たちがいます。
ところが、こんな話が全国的に広まっていけば、売れる土地も買い叩かれてしまうのです。
ですから、騒ぎを早く沈静化させたい大人たちが、事件が話題にならないように、一種の緘口令に類似したことを始めたのです。
嘘だとは言わないまでも、「成人としてコメントしない」、「子供たちの教育に悪いので取材自粛を」などという題目を上げ、対処することにしました。
となると、世にも稀な捕獲劇も、物証はない・少年たちの話だけということで、すぐ思惑どおり沈静化していきました。
もっとも、世界的なアマチュア天文学者関氏による科学的といわれる初期報告、有名な作家遠藤周作による少年たちの証人としての信頼性保証によって、信憑性がある事件としての記憶は残っていったのでしょう。

この経緯で、少年たちが自分が証言することについて、どんな考えを抱いていったのかを。



893 名前:水銀 ◆.MfebhPU 投稿日:02/06/04(火) 02:46
高知のUFO事件か。懐かしいな、子供のころUFO本で読んで知ったが、
子供のたわ言に何で大人が巻き込まれるのか、不思議に思った。
俺は今もそれは変わらない。物的証拠がないし。

複数の目撃者がいるらしいが、彼らがどんな属性にある
人々かが重要ではないかな。同じ属性にあるなら、
同じ理由で嘘をつくことがある。

さらに、目撃者の心理的傾向を調べる必要がある。例えば虚言癖がある、
とか、分裂病的素因はないかとか。これらの結果がない時点で、すでに
この事件は信ぴょう性に欠ける、という判断が俺の結論。

これぐらい厳しく判断しないと、こういうケースは、いくらでも、
でっち上げできるので、これぐらいが適切だと思うが、
皆の意見はどうかな?


937 名前:エンジェル・パス[sage] 投稿日:02/06/05(水) 10:03
おはようございます。
昨日の日本戦のコスタリカの審判がおかしいと思ったのは私だけでしょうか。

>>893
>複数の目撃者がいるらしいが、彼らがどんな属性にある人々かが重要ではないかな。

確かにその通りです。
この場合行為属性については必要ないですが、行為者属性については調べる必要があります。
例えば、トラヴィス事件のように、森林伐採契約逃れのために、みんなが口をそろえてUFOによる誘拐事件を偽装したり。
また、宗教がかった人々の目撃事例はもう最初から調査方法が固定していたり。
これについては、目撃者の人証の信用性のその1として、当然調べるのが筋ですね。
ちなみに介良事件についての、周辺の人の行為者属性については問題ないと思ってます。
本人たちの行為者属性については、判断材料が足りないというのがほんとのところかな。

>さらに、目撃者の心理的傾向を調べる必要がある。例えば虚言癖がある、とか、

こっちが、人証の信用性の最重要なもので、一番大変です。
もっとも嘘言癖があるとかは、周囲の人々の話を聞いていくと大抵わかりますし、調べもやります。
問題は、分裂病的傾向とかですねえ。
これは、本人に診断を受けてくれなんてとてもいえません。
せいぜい、本人との話した際のテープや、行動傾向などを心理学者や精神医などに判断してもらう程度です。


938 名前:エンジェル・パス[sage] 投稿日:02/06/05(水) 10:03
ですが、これ勝手にやって本人に知られると人権問題になるんですよ。
重要犯罪の精神鑑定でさえ、裁判所の命令(形式は許可)がなければやれないんです。
そのうえ、私たちは、何度か本人の同意を得てやったことがあるんですが...
これ、心理学者や精神医によって言うことが違うんですよ(泣)
言われているほど、かっちりした鑑定は出ないんです。
死刑犯罪でも、古畑鑑定みたいに鑑定者によってずいぶんと違ったりするんです。
それでも、もちろんわかるかぎりやらなきゃならないんでしょうけどね...
介良事件については、嘘言癖がないことは確認してます。
(手品が得意な人気者、というのが唯一引っかかってるんですけれども)
分裂病的傾向などについては、正直病歴がないことを確認しただけで、その余についてはわからないというのがほんとのところ。

893さんが言うほどの厳密な鑑定ができたら最高ですね。
もっとも、欧米では、ことさらにポリグラフとか精神医にパスしたことを誇示する目撃例は、逆に疑えという経験則もあるそうです。





おまけで、以下は3スレ目「★ ハードなUFO議論モトム 3 【物理現象】 ★」 http://curry.2ch.net/test/read.cgi/occult/1023264220/ より


890 名前:Mercury ◆XD24Gj2U 投稿日:02/07/19(金) 01:55
>>888
エンジェル・パス氏はガチガチの否定派でも肯定派でもないよ。高知事件に関しては
何かあったのではないか、と書き込みしてるし(この辺は俺と意見が違うけど)。
かなり客観的に物事をとらえてるので俺には好感度あるけどね。

891 名前:エンジェル・パス 投稿日:02/07/19(金) 02:10
ありゃりゃ、これはタイミングよく読みにきたものですね。

>>890
好感度ありますか、ありがとうございますm(_ _)m
高知事件についての別意見、よければお聞かせください。
前回書き忘れたんですが、高知事件で何かあったと私が思う傍証の一つにこんなのもありました。
同じ高知県の吾川郡で、1976年6月に、大きさも形もやっぱり介良そっくりの円盤が道に降りてきたのを目撃した(そして触ってみた)という事件があったんです。
こっちの真偽は今となってはわからないんですけれどね。
これは書いてなかったと思うので、参考まで。




 以上、介良事件に対するエンパス氏の発言をまとめてみました。
 >>867でエンパス氏が言う「809さんの紹介ページ」は現在リンク切れなので割愛しましたが、webarchiveで確認したところ、


http://www.youneeds.com/xfiles/ufo/kela_ufo_catcher.htm


↑このページに統合されたようです。この方も(立場はどうあれ)介良事件を篤実に調査し続けている方のようです。


 ちなみに、エンパス氏の発言と、『高知県介良町「UFO捕獲事件」の衝撃』で共通している情報としては
>ただっすね、この騒動の中心人物が、手品が得意な人気者少年だったんすよ。
>そんでもって、この人物は今、介良町の隣町で焼き鳥屋やってるんすけど、
>事件のことは「昔のことはどうでもいい」って話してくんないすよ


>もう一人、3人の中心人物の残り一人とされる人物についても触れておかねば不公平かもしれません。
>この少年は、現在県下第2の市で、高校の教諭をやっています。
>別の市ということも関係あるのかもしれませんが、氏の証言は、捕獲当時の証言と現在でも何の変遷もありません。


>当然、農地を売って住宅地にし、開発しようという大人たちがいます。
>ところが、こんな話が全国的に広まっていけば、売れる土地も買い叩かれてしまうのです。
>ですから、騒ぎを早く沈静化させたい大人たちが、事件が話題にならないように、一種の緘口令に類似したことを始めたのです。


 この辺りの話は、『高知県介良町「UFO捕獲事件」の衝撃』でも同様の記述があります。


 ただ、エンパス氏が


>何かがあったのかなあ、とついつい思ってしまうのです。


と、事件の中心に何がしかのストレンジネス、エッジ・オブ・リアリティがあったのではないかと考えるのに対し、『高知県介良町「UFO捕獲事件」の衝撃』を執筆した西本健一氏は、当時の介良の地域事情等の背景から、中学生が引き起こした「デッチ上げ」ではないかという結論に至っています。
 同じ事件を取材し、同じような事実に辿り着きながらも、そこから先はかなり異なっている…
 ここが円盤の面白い・楽しいところでもあり厄介なところでもある、ということなのでしょう。


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