オスカー様かく語りき
そうだな。
まず、おれの好きなタイプの女王候補を教えてやろうか。
おれの好きなタイプの女王候補というのは、まず、デートしてくれる女だ。 もっと好きなのは、たくさんデートしてくれる女だ。
次に好きなのは、デートした後で金を請求しない女王候補だ。
いいかい。 デートさせてくれるまで、女王候補を信用しちゃあいけねえ。
デートしてくれないロザリアよりも、デートしてくれるアンジェリークのほうが、ずっと可愛げがある。 デートしてくれない女は男と同じだ。 最終的に、いい女王候補とは、デートしてくれる女のことなのである。
おれが一番信用しているのは、ジュリアス様と、デートしてくれた女だけだ。
おれの名前は、オスカー。
はっきり言って、美男子(ハンサム)である。
美男子だから、ケンカが強い。 美男子だから足が長い。 美男子だから、大陸育成もおまかせである。 おれの前に出てくる女王候補は、みんな「炎」の力を欲しがっている。
ふたりっきりになればすぐに育成の力を貸してくれてと言ってくる。
おれの職業は、「炎」の守護聖だ。
どういう職業か、それを説明している時間はない。
向こうの席に座った女が、さっきからおれの方にちらちらと視線を送ってくるからである。
その女が、おれの好きなたくさんデートしてくれるタイプの女王候補かどうか、まずそれを確かめてからでなくては、他のことには集中できないのだ。 それに、おれの仕事については、これから、おいおい説明する機会もあるだろう。
おれは、その女と視線を合わせると、とっておきのとびきり渋い微笑を送ってやった。
(続く…のかしら)